摘要 : 好中球が感染防御にいかに重要な働きをしているかは，好中球の数が有意に低下したりあるいは好中球の機能が低下すると，易感染状態となってしばしば生命に関わる重篤な感染症につながることから明らかである。 好中球の量的 質的低下は種々の原因に... 展开 好中球が感染防御にいかに重要な働きをしているかは，好中球の数が有意に低下したりあるいは好中球の機能が低下すると，易感染状態となってしばしば生命に関わる重篤な感染症につながることから明らかである。 好中球の量的 質的低下は種々の原因によって起こる。 従って好中球に起因する易感染状態についてその原因，病態形成，機序を明らかにすることは，基礎的観点のみならず治療等臨床的観点からも重要である。 一方，好中球が発揮する貪食殺菌能はきわめて迅速であり，また強力である。 この好中球の貪食殺菌能が病原微生物に対して発揮される限り，きわめて有効である。しかし，一方,この機能が正常組織に対して発現すると組織傷害を惹き起こす。このように好中球の量的減少，機能低下は感染症を惹き起こし，一方,好中球の量的増加，機能亢進は組織傷害，臓器機能不全を惹き起こすことになる。 好中球が生体に対してもつ二面性ととらえることができる。 これらを理解する基礎として，好中球の産生と動態，好中球の持つ機能，好中球機能の制御機構について概説する。 そして好中球の量的 質的異常と病態形成について解説する。 收起