摘要 : ミトコンドリアDNA（mtDNA）は，約16kilobaseの環状2本鎖DNAであり，ミトコンドリア内で蛋白を合成するための2個のリボソームRNA，22個の転移RNAをコードしている（図1）。 さらに，電子伝達系酵素群のサブユニットの一部を構成する蛋白を計13個コー... 展开 ミトコンドリアDNA（mtDNA）は，約16kilobaseの環状2本鎖DNAであり，ミトコンドリア内で蛋白を合成するための2個のリボソームRNA，22個の転移RNAをコードしている（図1）。 さらに，電子伝達系酵素群のサブユニットの一部を構成する蛋白を計13個コードしている。 mtDNAは，核DN4と大きくことなる3つの性質がある。 1）1つの細胞内に数十～数百個存在する個々のミトコンドリア内に，mtDNAは5～10個ずつ存在しているため，1細胞では数百～数千個存在していることになる（マルチコピー性）。 これは，父由来，母由来のゲノムを1組（2個）もつ核DNAとは大きく異なる点である。 2）核DNAに比べ，変異のおこりやすさが5～10倍程度高いとされている（易変異性）。 3）mtDNAは細胞質に存在しているので，それが次世代に伝わるのは，細胞質遺伝と表現される（図2）。 この3つの性質が，mtDNA異常をきたす疾患の病態に色濃く反映している。 收起