摘要 : 私は,1981年に当時の日本専売公社(現JT)に入社し,1987年に中央研究所に配属になり,植物ウイルスの研究に従事することになった.そこで任された研究材料がキュウリモザイクウイルス(CMV)のYサテライトRNA (Y-sat)だった.私が所属した研究グループのリ... 展开 私は,1981年に当時の日本専売公社(現JT)に入社し,1987年に中央研究所に配属になり,植物ウイルスの研究に従事することになった.そこで任された研究材料がキュウリモザイクウイルス(CMV)のYサテライトRNA (Y-sat)だった.私が所属した研究グループのリーダーは後に九州大学に転出された故高浪洋一先生であった.温室で高浪先生に見せられたY-satに感染して黄化した夕バコがとても美しかったことを今でも記憶している.CMYのY-satは,高浪先生が1980年に日本の四国のタバコ畑で分離したもので(Takanami,1981),圃場でよく発見されるサテライトRNA (330塩基ほど)に比較して長く(369塩基),中央部分に40塩基ほどのュニークな挿入をもつ特殊なものであった.私は,その後,このY-satと35年間付き合うことになった.Y-satには様々な謎があり,それを解き明かすことに明け暮れた.例えば,Y-satはどのようにしてタバコを黄化させることができるのか.そして,その鮮やかな黄色はY-satにとってどのような意味をもつのか.何ょりも,中央部分の挿入配列はどこからやってきたのか.これらミステリーを解き明かす楽しさがこの研究にはあった. 收起