摘要 : 世代間所得弾力性とは，親の所得による子供の所得への影響を計測する指標である。この値が高いほど，貧困世帯の子供は貧困から脱出することが困難になる。本研究は中国家族パネル調査(2010年-2018年)のデータを利用し，パネルデータ分析により所得格... 展开 世代間所得弾力性とは，親の所得による子供の所得への影響を計測する指標である。この値が高いほど，貧困世帯の子供は貧困から脱出することが困難になる。本研究は中国家族パネル調査(2010年-2018年)のデータを利用し，パネルデータ分析により所得格差と世代間所得弾力性の関係を検証したものである。その結果として，地域によつて所得格差による世代間所得弾力性への影響が異なることが観測された。東部地域では，コホートにかかわらず，所得格差の拡大に応じて世代間所得弾力性は上昇する。中部地域においては，義務教育普及前のコホートでは所得格差の拡大に応じて世代間所得弾力性は下降するが，義務教育普及後のコホートではそのような関係は観測されなかった。西部地域に関しては，いずれのコホートについても所得格差の拡大に応じて世代間所得弾力性は下降する傾向にあることが確認された。 收起